
準確定申告には期限・申告方法など、いろいろな決まりがあります。
これまで確定申告をしたことがあれば、それほど身構えることもありませんが、初めてなら不安にもなります。
このページを最後まで読めば、次のことがわかります。
- 準確定申告って何?
- 申告をしないとどうなる?
- 準確定申告の書き方と付表の記入例
準確定申告の書き方と期限、申告手続きをしないとどうなるかについて説明します。
準確定申告ってそもそも何?
確定申告を毎年していた家族が亡くなったら、故人の代わりに相続人が所得税を申告します。
これを準確定申告といいます。
準確定申告の申告期限
通常の確定申告は、毎年1月1日から1年間の所得を計算し、翌年2月16日から3月15日の期間に税務署に申告します。
ですが、確定申告をしていた家族が亡くなったら、その年の申告はできなくなります。
そのため、相続人が死亡日までの所得税を申告することになりますが、期間は4ヵ月以内です。
厳密に言えば、相続をあったことを知った日の翌日から4ヶ月以内になります。
例えば、亡くなった日が6月20日なら申告期限は10月20日です。
4ヵ月の猶予があるからと、そのままにしないで、余裕をもって申告することをおすすめします。
申告対象の所得税
準確定申告は、家族が亡くなられた年の1月1日から死亡日までの所得税について申告します。
ですが、昨年分の確定申告前に亡くなられたら、昨年分もあわせて準確定申告しなければいけません。
3月15日が通常の確定申告の期限なので、1月1日から3月15日に家族が亡くなられたら、昨年分の確定申告が終わっているか確認が必要です。
準確定申告の還付金
準確定申告することによって、還付金が戻ってくることもあります。
実際に納めるべき金額より多く所得税を払いすぎていたら、利息とともに還付金を受け取れます。
- 毎月の給与やボーナス、公的年金などの収入から所得税が引かれていた
- 前年の所得税納税額が多かったため、予定納税していた
※予定納税とは、翌年の所得税の一部をあらかじめ納税しておくこと - 高額の医療費を支払った
還付金は準確定申告書を提出したあと、1ヶ月程度で指定口座に振り込まれます。
準確定申告によって還付金があるなら、その還付金は相続財産の対象で、遺産分割協議や相続税の申告にも関わってきます。
準確定申告をしなければいけない人
準確定申告の手続きは、故人の代わりに法定相続人や包括受遺者になった人が実施します。
包括受遺者は、遺言書で指定され遺産を受けとった人のことです。
故人は、遺言書があれば法定相続人以外にも遺産を譲れます。
そのことを遺贈といいますが、遺贈は特定遺贈と包括遺贈に分類されます。
自動車や家など特定の財産を遺贈すれば特定遺贈、遺産の全部や遺産の半分など割合で遺贈すれば包括遺贈になります。
包括受遺者とは、包括遺贈を受けた人のことです。
相続人や包括受遺者が2人以上いるなら、全員が準確定申告書の付表に署名しなくてはいけません。
付表については、後ほど説明します。
期限内に申告しないとどうなる?
4ヵ月の期限内に準確定申告をしなかったら、余分に無申告加算税と延滞税がかかります。
忘れていたり、知らなかった場合でも関係ありません。
無申告加算税と延滞税が掛かる
準確定申告をしなかったら無申告加算税が課されますが、本来納付する予定だった税額に対して、割増されて納めなければいけません。
- 50万円までは15%
- 50万円を超えた部分は20%
申告していないことに気付いたら、できるだけ早く申告しましょう。
申告期限から1月以内に期限後申告すれば、無申告加算税は課されないこともあります。
また、税務調査で指摘されるまえに期限後申告すれば、無申告加算税は軽減されます。
期限後申告は、申告書を提出した日に税金を納め、延滞税も併せて納付しなければいけません。
準確定申告をしなくていい人
次の項目のどれにも当てはまらなければ、準確定申告はしなくても大丈夫です。
- 2ヵ所以上から給与を受けた
- 給与所得が2000万円を超えた
- 給与や退職金以外の所得が20万円を超えた
- 貸付金の利子や不動産の家賃収入があった
- 個人で事業をしていた
- 高額の医療費を支払った
- 400万円を超える公的年金を受け取った
- 公的年金以外の雑所得が20万円を超えた
高額の医療費は、死亡日までに故人が支払った医療費が対象です。
準確定申告の書き方
準確定申告の書き方を説明します。
準確定申告書の付表の記入例
申告するための書類や記入方法は、通常の確定申告とほとんど同じです。
ですが、相続人や包括受遺者全員が2人以上のときに、氏名やマイナンバーを記入する付表になります。
もし、遺産を相続する人が1人なら、付表を記入する必要はありません。
記入例の法定相続分は、法定相続人の構成で次のように決まります。
- 相続人が配偶者と子
配偶者は1/2、子は1/2 - 相続人が配偶者と直系尊属
配偶者は2/3、直系尊属は1/3 - 相続人が配偶者と兄弟姉妹
配偶者は3/4、兄弟姉妹は1/4
遺言書で相続人や包括受遺者への配分指定があったなら、指定を選びます。
基本は、相続人や包括受遺者が1枚の用紙で申告します。
ですが、マイナンバーなどの個人情報をほかの相続人や包括受遺者に知られたくなければ、別々の用紙で申告することもできます。
その場合は、ほかの相続人に対して、自分が申告した内容を通知しなければいけません。
準確定申告を書くために必要な書類
準確定申告を書くために必要な書類を集めます。
故人の働いていた会社など、関係しているところに連絡して必要書類を入手しましょう。

年金を受給していた場合、年金の源泉徴収票が必要となります。年金の源泉徴収票は受給停止手続きのあと、死亡届を提出した家族宛に送付されます。
その他には、死亡日までに故人が支払った医療費の領収書、各種保険の払込証明書などを用意します。
管轄の税務署に出向いて、確定申告書をもらいましょう。
確定申告書 | 申告する所得 |
A | 1.給与所得 2.雑所得 3.配当所得 4.一時所得 |
B | その他の所得 |
準確定申告書の記入例
準確定申告は、確定申告書等作成コーナー確定申告書等作成コーナー確定申告書等作成コーナーで申告書を作成できないので、手書きで申告書を作成します。
確定申告書の文字の前に「準」の文字を書き加え、上部の余白には、相続人や包括受遺者のマイナンバーを記入します。
そのほかの部分の書き方は、通常の確定申告とほとんど同じです。
昨年までの確定申告の控えを保管していれば参考にできます。
どうしても分からなければ、所轄の税務署で個別に書き方を教えてもらいましょう。
準確定申告の所得控除
医療費控除は、亡くなった日までに故人が支払った医療費が対象です。
亡くなった後に相続人が支払ったものは、準確定申告の医療費控除の対象にはできません。
保険料控除(社会保険料、生命保険料、地震保険料)についても、亡くなった日までに故人が支払った保険料が対象です。
配偶者控除や扶養控除は、亡くなった日に対象者がいたかどうかにより判断します。
申告先は、亡くなった方の住所地にある所轄の税務署で、わからないことは税務署の職員に聞けば解決するかと思います。
複雑な申告や手続きになるなら、税金の専門家である税理士に依頼する方法もあります。
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