【税務調査の実態】10%の壁と100万円の罰|相続税体験談ブログ

 

もし相続税の税務調査をされたら、支払わないといけない税金のほかに罰金が上乗せされます。

2017度に税務調査された人たちの罰金の合計は、なんと107億円

1人あたりに平均すると、102万円も余分にお金を取られたことに。

すこしでも納税額を減らしたいなら誤魔化ごまかすことはせずに、正規の節税対策をしなければ、あとで大変なことになってしまいます。

このページを最後まで読めば、次のことがわかります。

  • 相続税の税務調査の実態とは
  • あなたが税務調査される確率
  • もし相続税の申告漏れを指摘されたら
  • 申告漏れで罰金はいくら取られるのか
  • 相続税の悩みを解決する方法

税務署による税務調査の実態と、税務調査される確率、有能な税理士をみつける方法を紹介します。

相続税の申告期限などを分かりやすく図解

相続税は、受けとる相続財産の総額が3,600万円を超えていれば、あなたに関係します。

そして相続税は自己申告なので、何もせず放置していたら無申告となり、本来の納税額に上乗せされて取られます。

「そんなこと知らなかった」と言っても罰金です!

どんなに払いたくなくても、税務署は許してくれません…

無申告で加算税が発生してしまう期限は相続税法第27条で、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内って決まっています。

この「相続の開始があったことを知った日」というのが少しややこしい表現なので図解します。

相続税の申告期限

相続税の申告期限は、相続税法で決まっていますが、「相続の開始があったことを知った日」って何だか分かりにくいですね。

もし、あなたが法律に詳しくなくて、自分に相続権があることを知らなかったとしても関係ありません。

法律でいう相続の開始とは、故人が死亡したことによって、誰かに相続権が発生することです。

法定相続人が相続放棄するなど、特別な理由がないなら、法定相続人が故人の死亡を知った日が「相続の開始があったことを知った日」ってことになります。

法定相続人ってなに?

相続税の申告期限(図解)

図のように、もし何らかの事情で亡くなったことを知らなければ、その事実を知った翌日から10ヶ月以内が申告期限です。

1月15日に亡くなったことを知ったなら、11月15日が申告期限です。

遺贈された場合の相続税の申告期限

遺言書があれば、その中で財産を特定の人におくること(遺贈いぞう)について書かれているかもしれません。

遺産を受けとる人が法定相続人でなければ、遺贈されることを知った日の翌日から10ヶ月が申告期限です。

受遺者の相続税の申告期限(図解)

受遺者が2月23日に、自分に遺贈があることを知ったなら、12月23日が申告期限になります。

税務署による相続税の税務調査の実態

相続人であるあなた自身が、税務署に納税額を申告しなくてはいけないのが相続税。

申告期間は、相続の開始があったことを知った翌日から10ヵ月以内です。

期限内に適正な金額を申告をしなければ、ある日突然、あなたの家庭に税務調査(実地調査)が入るかもしれませんよ。

どんな人が税務調査されやすいのか

相続税は自己申告なので、申告書の内容にミスがあったり、悪質な人はウソの申告で納税額を少なくすることも。

ほかには知ってか知らずか、そもそも期限内に申告しない人もいます。

正確な申告ができていないと税務署に判断されたら、職員が家庭に押しかけてきて、ほとんどの場合は質問形式で税務調査されます。

  • 税務調査されやすい人
    ・複数いる相続人ごとに、遺産の申告額が違う
    ・遺産に対して申告額が明らかに少ない
    ・申告義務があるのに無申告
    ・高額(数億円)の遺産を相続した人
    ・亡くなる前に故人の預金から多額のお金が引き出された
    ・自分で相続税を申告した人

自分で相続税を申告したかどうかは、申告書の一番下の記入欄でわかります。

相続税の申告書(税理士記載欄)

税理士が相続税の申告に関わっていなければ、間違いも多くなるので、税務調査の対象になりやすい傾向にあります。

税務調査される10%の人にならないためにすること

相続財産が多ければ多いほど、相続税の申告書の作成には専門知識が必要になります。

税金の素人が作成して、もし申告漏れがあれば、それは税務調査の対象です。

税務調査される10%の人にならないためには、どうすればいいのでしょうか。

答えは簡単で、相続税申告に強い税理士に申告書の作成をお願いすることです。

税理士だったら誰でも良いってわけではなく、相続税申告に強いってところがポイント!

でも相続税申告に強いとされる税理士は、税理士全体の約20%しかいなくて、自力でみつけるのは難しいのが現実です。

相続税に強い税理士を無料で何度でも紹介してくれるサイトもあるので、積極的に利用してみましょう。

税務署は財産をどう把握しているのか

ここで疑問ですが、税務署は相続財産をどうやって把握しているのでしょうか。

亡くなったら役所に死亡届を提出しますが、じつは死亡した事実は役所から税務署に通知されています。

死亡の事実を知った税務署は、KSKシステムを利用して、あなたと家族の情報収集を始めます。

KSKシステム
KSKシステム(国税総合管理システム)は、2001年に全国に導入完了しています。
このシステムは、所得税やその他の申告内容、不動産の情報などを蓄積しており、必要なデータを取り出すことができるものです。
国税局と税務署をネットワークで結んでオンライン処理できます。

出典:財務省

さらに税務署は、亡くなった方やその親族の銀行資産を調査する権限を持っていて、いろんな情報から財産を把握しています。

最終的には税務署の職員による経験から、税務調査の対象者が選ばれます。

下調べを充分にしたうえで、あなたの家庭に税務調査しにやってくるので、税金の素人には太刀打たちうちできるはずもありませんね。

【体験談】相続税の税務調査をされたらどうなる?

もし税務調査の対象になったら、申告漏れを指摘される確率は82.4%と非常に高い数値です。

その可能性が高い人を税務調査するので、当然と言えば当然の結果ですが…

申告漏れを指摘される確率

2017年に税務調査を実施した件数は12,576件です。

その中で10,521件が、申告漏れなどを指摘された事案になっています。

税務調査で指摘される確率

平均すると、税務調査された家庭の82.4%が、申告漏れなどで罰金(追徴課税ついちょうかぜい)を支払ったことになります。

もし税務調査されたら、余分な罰金を支払うことを覚悟しなければいけませんね。

税務調査での質問 その1

税務署の職員は税務調査のときに単刀直入にお金の行方を質問してきません。

まずは故人の性格や趣味、亡くなる前の状況などを事細かく聞かれます。

ギャンブルやお金の貸し借りなど金銭感覚はどうだったか、亡くなる前の健康状態はどうだったかなど。

質問はいろいろですが、家族から故人についてあらかじめ聞き出す目的は、あとで言い逃れできないように外堀を埋めるためです。

そのうえで例えば、
「〇年〇月に△△△万円が引き出されていますが、使い道は何ですか?」といった不明出金について聞かれます。

もし堅実な性格だったと教えていたなら、ギャンブルやお金を貸したといった選択肢は消えます。

高級な趣味のものや、タンス預金など、申告していない隠し財産がないか疑われているのです。

税務調査での質問 その2

質問されて、亡くなる直前は寝たきりになっていたと答えたケースです。

寝たきりになってからの故人の預貯金、もし引き出した形跡があれば、誰が何の目的で引き出したのか追及されます。

寝たきり状態では預貯金の管理はできないので、家族の誰かが引き出したことになります。

その引き出した預金の使い道を、家族の誰も知らないとは言えなくなりますね。

このように職員のたくみな質問によって、税務調査されたら82.4%の家庭で、相続税の申告漏れを指摘されます。

あなたが税務調査される確率は10%

2015年に相続税法の改正があって、相続税の非課税枠が引き下げられ、納税者の数は約2倍に増えました。

相続税法の改正で税務調査の確率は半分に

次のグラフは、年ごとの相続税を納税した人の推移です。

相続税の課税対象者(図解)

2014年に56,239人だった納税者数が、翌年の2015年には約2倍の103,043人に増えているのが分かります。

でも納税者の人数が2倍になっても、税務調査する職員の数はほとんど変わりません。

下のグラフでは、税務調査の件数は毎年12,000件前後で変わっていないのが分かります。

相続税の税務調査される確率

以前は20%を超えていた税務調査の確率も、納税者が増えたために、2015年以降は10%ほどになっています。

つまり単純に、税務調査の対象になる確率は、相続税法を改正する前の約2分の1に下がったということ。

相続税を申告した人の5人に1人が税務調査を受けていたのが、2015年以降は10人に1人ほどになっています。

確率が下がった分は簡易な接触による調査でカバー

税務署では、家庭でおこなう税務調査のほかにも、文書や電話による連絡、税務署での面接による調査も行っています。

この調査は、申告漏れや計算誤りがある申告内容を指摘するための簡易な接触と言います。

簡易な接触は、2015年から下がった税務調査の確率をカバーするために積極的に行われていて、2017年は11,198件にもなります。

2017年の税務調査は12,576件だったので、ほぼ同じくらいの件数ですね。

  • 簡易な接触の具体的取組
    ・保有する資料情報などから、相続税の無申告が想定される納税者に対し書面照会を行う。
    ・問題点が限られている事案は、実地に赴かないで、電話や来署依頼による調査を行う。

簡易な接触では、60%くらいの人に申告漏れが見つかっています。

税務調査の確率が下がった分をカバーするために、税務署も必死ですね…

マイナンバーで税務調査の確率が0%になる日がくるかも…

税務調査される確率が下がったのは、お伝えした通りの事実です。

でも「相続税の申告なんて適当でいいや!」とはならないようにしましょう。

すでに銀行の口座にまで、マイナンバー制度は導入されています。

マイナンバーカード

2018年のマイナンバー法改正で、銀国の預貯金口座にマイナンバーを紐付ひもづけることが銀行の義務になりました。

具体的には、投資信託、外国送金、預金口座開設などを手続きするときに、あなたのマイナンバーを銀行に通知しなければいけません。

預貯金口座へのマイナンバーの付番について

出典:内閣府

すでに会社の給与や毎年行っている確定申告の金額は、マイナンバーにほぼ紐付ひもづけされた状態です。

さらに預金や借金などの、銀行取引の状態もマイナンバーで管理されたら…

現実的になっていますが、あなたや家族の資産の動き、家計の状況などを税務署が完全に把握する未来も遠くはありません。

マイナンバーに紐付ひもづけされたら、資産の大きさや動きがデータによって丸わかり。

近い将来にはAI技術を活用した税務管理で、税務調査の必要すらなくなる日がやってきます。

相続税の税務調査で指摘されたら追徴課税はいくらになるのか

税務調査で指摘された82.4%の人たちは、いくらの罰金(追徴課税ついちょうかぜい)を取られたのでしょうか。

とっても気になる疑問です。

余分に納めなくてはいけない税金

2017年の税務調査で、申告漏れなどを指摘された件数は10,521件でしたね。

税務調査された家庭1件あたりの平均額にして計算します。

すると2017年は、本来納税する相続税643万円に対して、罰金は102万円にもなります。

税務調査で指摘されたときの罰金平均

2009年から2017年の数値を平均すると、税務調査1件あたり92万円も罰金を取られています。

相続税の加算税

税務調査して申告漏れを指摘されたら、本来支払うべき本税のほかに罰金を支払います。

その罰金の内容を簡単に説明します。

  • 過小申告加算税
    納税額が本来納めるべき金額より少なければ、過小分の税額の10%を加算。
    税額50万円を超えるものは15%にアップ。
  • 無申告加算税
    申告自体していなかったら、本税の15%を加算。
    税額50万円を超えるものは20%にアップ。
  • 延滞税
    納付期限を超えた日数に応じて加算。
    2ヶ月以内は年利7.3%、2ヶ月超は年利14.6%。
  • 重加算税
    調査した結果、隠ぺいなど悪質と判断されたら加算。
    ・過少申告税…35%にアップ
    ・無申告加算税…40%にアップ
    ・不納付加算税…35%にアップ

2017年の申告漏れ指摘件数10,521件の中で、悪質とされる重加算税の対象は1,504件もありました。

指摘件数の14.3%が重加算税に該当して、本来の税金に35%ないし40%の金額の罰金を取られています。

罰金を支払わなくてはいけない人の7人に1人が、平均で約200万円の重加算税を支払ったことになります。

相続税の税務調査の実態まとめ

相続税の申告は、遺産が多ければ多いほどホントに複雑になります。

税務調査されないためには、経験と知恵を兼ね備えた税理士を選ぶことが問題解決への一番の近道です。

もし専門外の問題が発生しても、専門家同士の横のつながりで、その分野に詳しい仲間を紹介してくれることも期待できます。

仕事を依頼する前には相談という形から入り、親身になってくれる、あなたが信頼できる専門家を見つけてください。

相続税に強い税理士を見つけるなら、税理士紹介サイトを活用するのもおすすめです。

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