遺言書を検認しないとどうなる?手続きから検認日までの流れ

 

遺言書が見つかったら検認!

間違いではないけれど、すべての遺言書が検認の対象ではありません。

「検認ってどんな制度?」
「検認しないとどうなるの?」
「どこで検認すればいいの?」
「そもそも遺言書が見つからない」

いろいろ疑問や悩みが湧いてきますが、このページを最後まで読めば、次のことがわかります。

  • 遺言書の検認とは
  • 遺言書を検認しないといけない理由
  • 家庭裁判所で検認する方法

遺言書を検認しないといけない理由について、わかりやすくお伝えします。

検認しないといけない遺言書

遺言書の検認とは、家庭裁判所で次のことを確認するための手続きです。

  • 遺言書の存在
  • 形状、状態、日付、署名

では、遺言書を見つけたら必ず検認しないといけないのでしょうか?

遺言書を見つけたら検認しないといけないのか、その答えを説明します。

必ず検認しないといけないの?

遺言書を見つけたら、すべての遺言書を検認しないといけないかと言えば、そうでもありません。

検認の対象は、自筆証書遺言秘密証書遺言です。

公正証書遺言は公証役場で原本を保管しているので、裁判所での検認は必要ありません。

また、2020年7月より法務局に保管される自筆証書遺言も検認は不要です。

>>自筆証書遺言の書き方と見本、法務局に遺言書を保管するメリット

かんたんに言えば、
公証役場と法務局以外で見つけた遺言書は検認が必要です。

民法による検認の必要性

民法1004条では、検認の必要性を次のように規定しています。

  1. 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
  2. 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
  3. 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

封印のある遺言書は、家庭裁判所で検認しなければ、開封してはいけないことになっています。

封印のある遺言書とは、封じ目に押印してある封筒に入った遺言書のことです。

誰が検認の申請をするの?

次の人が家庭裁判所に申し立て、検認を依頼しなければいけません。

  • 遺言書を保管していた人
  • 遺言書を発見した人

受付が完了すれば、検認日に相続人かその代理人の立会いのもと遺言書は開封されます。

検認が終わるまで遺言書の開封を禁止しているので、遺言書の偽造や変造のおそれがなくなります。

遺言書を検認しないといけない理由

まずは、遺言書を検認しないといけない理由について説明します。

遺言書が無効になる?

検認しないと遺言書が無効?
検認すればどんな内容でも有効?

この疑問はどちらも間違いです。

遺言書が無効か有効かは、民法の規定通りに遺言書が作成されているかで決まります。

検認したかしないかでは、遺言の有効性は決まりません。

何のために検認しないといけないかというと、遺言書の形状、状態、日付、署名など内容を明確にするため!

つまり、偽造や変造を防ぐためです。

検認は遺言書の内容に不備がないか検査するものではないので、遺言書の有効性は判断してくれません。

遺言書を検認しないとどうなる

偽造や変造の心配がないなら、検認しなくていいのかと言えば、やはりそういう訳にはいきません。

検認前に遺言書を開封したり、検認前に遺言の内容を実行したら、もしかしたら罰せられるかもしれません。

民法1005条の規定「過料」により、5万円以下の罰金が科されます。

遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、または家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

また、罰金以外にも検認しないといけない理由はあります。

検認しないと遺言書無効確認訴訟に発展することも

検認せずに遺言書を開封したとき、開封したあとでも、家庭裁判所に申し立てすることで検認はできます。

しかし「検認前に開封した遺言書は、偽造や変造、不要な部分を破棄しているかもしれない」と、相続人の誰かが疑いを持つかもしれません。

もし遺言書無効確認訴訟に発展することになってしまえば、無用なはずの相続争いを招くキッカケにも…

検認済証明書の発行

家庭裁判所で検認が終われば検認済証明書を受けとれます。

銀行の預金の相続や、不動産の登記(名義変更)には検認済証明書が必要で、検認が終わらなければ相続を開始できません。

検認済証明書の発行は、ハンコと遺言書1通につき150円分の収入印紙を持参しましょう。

収入印紙は、郵便局か法務局で販売しています。

家庭裁判所で検認する方法

家庭裁判所への検認の申立ては、遺言書を保管していた人か遺言書を発見した相続人が行います。

検認手続きに必要なもの

まず検認の申し立て自体にも事前準備が必要です。

故人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本など手続きに必要な書類を集めます。

家庭裁判所への持参物

  • 申立書
  • 遺言者と関係者の除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 連絡用の郵便切手

>>戸籍謄本などの証明書を役所に請求する方法をわかりやすく解説

家庭裁判所からの検認日の通知

検認の申し立てが完了すれば、各相続人に対して裁判所から検認日が通知されます。

検認日には申立人が出席します。

申立人以外の相続人は任意で、全員がそろわなくても検認日に手続きはおこなわれます。

この検認日は、申立日の1ヵ月後あたりに設定されることが多いようです。

もし検認日に出席できなかった場合、相続人や関係者に家庭裁判所から手続き終了の通知があります。

検認申立書の書式を準備をする

まずは申立書と当事者目録を、家庭裁判所の窓口で入手しましょう。

窓口は、故人の最後の住所地にある家庭裁判所になります。

プリンターで印刷可能なら、家庭裁判所のホームページでもダウンロードできます。

つぎの記入例を参考にしてください。

申立書記入例


当事者目録記入例

記入ミスのないことを確認したら、800円分の収入印紙を郵便局か法務局で購入し、申立書に貼り付けます。

すべて完了すれば、家庭裁判所の窓口に提出します。

相続人同士の争いにならないように、公証役場や法務局以外で見つけたら、すぐに家庭裁判所に申し立てましょう。

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