自筆証書遺言の書き方

2019年に民法が見直されています。

  • 民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律
  • 法務局における遺言書の保管等に関する法律
  • 自筆証書遺言の変更ポイント
  • 改正後の遺言書の書き方
  • 自筆証書遺言書の保管方法

自筆証書遺言の書き方と保管方法について詳しく説明します。

 

自筆証書遺言書の書き方

民法が改正されて、自筆証書遺言の方式で書ける遺言書が、これまでよりお手軽になりました。

どこが変更されたかを抑えながら、遺言書の書き方を説明します。

そもそも遺言書とは

遺言書は民法第960条から第1027条で厳しく規定されていて、その方式は3種類あります。

  • 公正証書遺言
    公証人が責任をもって間違いのない遺言書を作成するもの
  • 自筆証書遺言
    自分で書く遺言書で、無料で作成できる
  • 秘密証書遺言
    遺言内容を誰にも知られたくない場合

それぞれの遺言書の詳しい内容は、つぎの記事をご覧ください。
 ↓ ↓ ↓
効力のある遺言書を作成する方法

2019年に民法が改正されて、自筆証書遺言の方式緩和と、自筆証書遺言を法務局に保管する制度ができました。

ほかの方式で作成するより、自筆証書遺言で遺言書を作成するメリットが大きくなっています。

法改正後の自筆証書遺言の作成方法と、完成した遺言書の保管方法をお伝えします。

法改正で遺言書の書き方はどう改正された?

これまで自筆証書遺言の方式で作成する遺言書は、全文を自分で書かなくてはいけませんでした。

そのため、財産が多ければ多いほど遺言書を作成する負担は大きいものでした。

2019年に改正された民法では、この負担を大幅に改善しています。

  • 財産目録は自書以外でも大丈夫
  • 財産目録はページごとに署名押印すること

遺言書の1枚目の本文は、これまでと変わらず自分で書かなくてはいけませんが、本文に添付する財産目録は自書しなくても大丈夫です。

パソコンなどで作成しても問題ありません。

もう少し具体的に言うと、財産目録の各ページに署名押印さえすれば、どんな形式でも遺言書として認められます。

例えば、銀行通帳や不動産登記事項証明書のコピー、はたまた他人が作成することさえできます。

遺言書の財産目録の書き方の見本

まずは、遺言書の本文に付ける、財産目録の書き方の見本を紹介します。

次のイメージが、本文に添付される財産目録で、クリックすると拡大表示できます。

注意点として、かならず署名と押印をしてください。

財産目録への押印は、遺言書の本文で押したハンコでなくても大丈夫です。

あと、財産目録に表書きと裏書きがあるなら、両面それぞれに本人の署名押印が必要です。

遺言書本文の作成ポイント

自筆証書遺言の本文の作成ポイントは、遺言者が日付・氏名・全文を自筆し押印することです。

民法では第968条で規定されているので、かならず要点を守って、遺言書の本文を作成してください。

民法968条

  • 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
  • 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。
    この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
  • 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

このポイントを守らず、自筆証書遺言の方式として不備があったら、遺言書は無効になってしまうので注意。

遺言書本文の書き方の見本

次の遺言書の見本は、自筆証書遺言の方式で作成しているので、それぞれ必要な項目を反映させ、すべて自書で作成してください。

遺言書本文の書き方の見本

もし内容を修正したいなら、面倒ですが新しい用紙で書き直しましょう。

修正方法にも民法で決まりがあり、直し方を間違えると修正した箇所が有効になりません。

念のため、遺言書のサンプルには修正の方法も記入しています。

PDFで遺言書の見本をダウンロード

紹介したイメージ図は、PDFで作成しているので、必要であればダウンロードしてください。

完成すれば、もう一度不備がないか確認しましょう。

作成した自筆証書遺言書を法務局で保管する方法

自筆証書遺言の書き方のほかに、法務局における遺言書の保管等に関する法律も2018年7月13日に成立しました。

2020年7月10日からの運用開始で、作成した自筆証書遺言を法務局で保管してくれます。

これまでの遺言書保管方法のデメリット①

これまで自筆証書遺言を作成したら自宅の金庫や仏壇など、比較的わかりやすい場所に保管されていました。

それ以外にも保管場所は自由ですが、あまり分かりにくい場所を選べば、いざという時に家族が見つけることができません。

また従来の保管方法には、次のようなデメリットがありました。

  • 遺言書の紛失
  • 遺言書の破棄、隠匿、改ざん
  • 保存状態が悪ければ紙が劣化する

遺言書が不利となると思えば、相続人が遺言書を破棄するかもしれません。

また、掃除など不注意で紛失することもあります。

これまでの遺言書保管方法のデメリット②

これまでは、亡くなったあとに家族が遺言書を見つけたら、家庭裁判所で検認しなくてはいけませんでした。

>>遺言書を検認手続きしないとどうなる?検認日までの流れ

検認することは民法で決まっていますが、これが遺族の負担になります。

手続き自体も面倒ですが、検認が終わるまでに1ヵ月ほど掛かり、手続きが完了するまでは遺産相続が遅れます。

法務局に保管するメリット①

一方で、法務局に自筆証書遺言を保管すれば、先ほどのデメリットがすべて解決します。

遺言書の紛失・破棄・隠匿・改ざん・劣化を防ぎ、検認しなくてもよくなります。

ほかにも法務局に保管すれば、次のようなメリットがあります。

  • 全国どこでも預けられる
  • 遺言書の内容を秘密にできる

遺言書の原本を法務局で適切に保管してくれ、存命中はあなただけが遺言書を閲覧でき、保管の中止も自由です。

死亡したあとは、相続人などが遺言書の存在を法務局でかんたんに検索できます。

法務局で自筆証書遺言書の検索

誰かが遺言書を検索して、遺言書の写し(遺言書情報証明書)を交付したり、遺言書を閲覧したら、すべての相続人へ通知されます。

つまり、法務局からの連絡で、すべての相続人が遺言書の存在を知ることになります。

法務局に保管するメリット②

法務局に遺言書を保管してもらうなら、作成した遺言書に封をしてはいけません。

法務局へ持参した遺言書は、原本の保管にあわせて画像データ化し保存してくれます。

自筆証書遺言書の保管とデータ化

情報として保存できるので、検索もスムーズになります。

法務局に保管するメリット③

自筆証書遺言書の保管場所になる法務局には、遺言書保管官という担当者がいます。

遺言書保管官には遺言書の保管のほかに、もう一つ大切な仕事があります。

遺言書の方式として間違いが無いかの確認作業です。

署名、押印、日付の有無などを確認してくれます。

これまでは遺言書として不備がないかは、作成時に法律の専門家に依頼しないといけませんでした。

もし方式に不備があれば、遺言書が無効になることもあります。

遺言書を大切に保管してくれるだけでなく、遺言書保管官が不備を確認してくれるのは大きなメリットです。

法務局での遺言書の保管期間

法務局で保管してくれる遺言書は、預けている人が亡くなっても50年間保管してくれます。

また、遺言書の画像データなどの情報は、死亡から150年も保管期間があります。

遺言者の生死が明らかでない場合は、遺言者の出生日の120年後が死亡日とされます。

遺言書を保管できる法務局と手数料

遺言書の保管場所は、つぎの場所を管轄かんかつする法務局です。

  • あなたの住所地か本籍地
  • あなたが所有する不動産の所在地

遺言書を法務局で保管するには、手数料が掛かります。

  • 遺言書の保管の申請
  • 遺言書の閲覧請求
  • 遺言書情報証明書の交付
  • 遺言書保管事実証明書の交付

自筆証書遺言の作成は費用が掛からず、すぐに書くことができるというメリットがあります。

今回の民法改正によって、さらに手軽になったので、家族のために今すぐ遺言書を作成しましょう。