死亡した場合にパスポートを返納しないとどうなるか問い合わせてみた

 

大切な家族が亡くなったとき、故人のパスポートをどのように扱えばいいのか迷います。

勝手に捨ててしまっても問題ないのか、形見として残しておくためには…

このページを最後まで読めば、次のことがわかります。

  • パスポートセンターに問い合わせた
  • 法律上のあつかいは?
  • パスポートの悪用が心配なら
  • パスポートの返納方法
  • 失効手続き後にパスポートは返却してもらえる?

死亡でパスポートの返納手続きをしないとどうなるのか、それと手続きの方法についても説明します。

死亡した場合にパスポートを返納しないとどうなる?

神奈川県パスポートセンターに対し、家族が死亡した場合のパスポートに返納手続きをしないとどうなるか問い合わせました。

そうしたところ、次のような丁寧な回答がありましたので、全文そのまま記載します。

ご質問につきまして、次のとおりお答えいたします。

  • 旅券法では、名義人が死亡したとき旅券は効力を失います。
  • 失効した旅券は、都道府県知事または外務大臣に遅滞なく返納することになっています。
  • 上記の場合、返納の手続きは、パスポートセンターで旅券の名義人の死亡を確認したうえで、ご家族に「一般旅券返納届」を提出していただきます。
  • 旅券の返納に必要な書類は下記のとおりです。
    ・一般旅券返納届(パスポートセンターで記入できます)
    ・旅券の名義人の死亡を確認できる書類
    ・有効期間満了日前の旅券

  • 旅券の名義人の死亡を確認できる書類は、名義人の除籍が確認できる「戸籍謄本」または死亡診断書をお持ちください。
  • 現在、名義人と同一戸籍の方がいない場合は、「除籍謄本」をお持ちください。
  • 有効期間満了日を過ぎた旅券の返納の場合は「一般旅券返納届」及び、旅券の名義人の死亡を確認できる書類の提出は不要です。旅券をお持ちください。
  • なお、返納手続きをした旅券の還付を希望する場合は、パスポートセンターで穴あけ処理をしたあと返却いたします。
  • 失効した旅券を返納しない場合の罰則について、旅券法第23条には、旅券の返納を命じられた場合に、定められた期限内に返納しなかった者への罰則は規定されておりますが、お尋ねのありましたような事例で失効した旅券を返納しなかった者への罰則は特に定めがありません。
  • このほか、パスポートの申請手続等についてご不明な点がございましたら、「パスポート電話案内センター」(045-222-0022)を設けておりますのでお電話ください。
  • 神奈川県パスポートセンター

すこし分かりにくい点もあるので、詳しく解説していきます。

法律上、死亡でパスポートを返却しないとどうなるのか

パスポートについては、旅券法という法律があって、パスポートが失効する条件についての決まりがあります。

死亡した人のパスポートについて、法律で決められていることは次のとおり。

第十八条(旅券の失効)
旅券は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その効力を失う。
一 旅券の名義人が死亡し、又は日本の国籍を失つたとき。
三 旅券の有効期間が満了したとき。

パスポートを所有していた方が死亡したり、有効期限が切れたらパスポートは失効します。

続いては、失効したパスポートの返納についての決まりです。

第十九条(返納)
5 旅券の名義人が現に所持する旅券が前条第一項第一号から第四号まで又は第六号のいずれかに該当してその効力を失ったとき、及び公用旅券の場合においてその発給に係る国の用務がなくなり又は終了したときは、国内においては、一般旅券にあつてはその名義人が都道府県知事又は外務大臣に、公用旅券にあつては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては旅券の名義人が領事官に、遅滞なくその旅券を返納しなければならない。
6 返納すべき旅券の名義人がこれを保有することを希望するときは、返納を受けた都道府県知事、外務大臣又は領事官は、外務省令で定めるところにより、その旅券に消印をしてこれを当該旅券の名義人に還付することができる。

故人名義のパスポートが失効したら、そのパスポートの名義人、つまり故人が返納しなくてはいけないとなっています。

なかなかの矛盾ですが、実際には亡くなった方の家族に返却をお願いしています。

次のQ&Aは外務省HPからの引用です。

パスポートの名義人が死亡した場合は、どうすればよいですか?
パスポートの名義人が死亡した場合は、亡くなった方のパスポートを戸籍謄本等の名義人が死亡した事実がわかる書類とともに、国内では最寄りの都道府県の申請窓口、国外では最寄りの在外公館に届け出てください。
当該パスポートの失効手続きを行います。

パスポートについては罰則の決まりもありますが、不正利用したり、命令違反したときだけです。

つまり法律上、
家族が代わりにパスポートを返納する義務もなければ罰則もありません。

故人のパスポートを勝手に捨てようが、形見として持っておこうが、何の問題もありません。

悪用されるのを防ぐなら速やかに返納手続きを

故人のパスポートは、返納手続きをしなくても、とくに罰則や義務がないことはわかりました。

しかし死亡によりパスポートが失効しても、第三者に盗られてしまえば、偽造され悪用されてしまうことも考えられます。

故人の名誉のためにも、犯罪に巻き込まれるのが心配なら、最寄りのパスポートセンターに返納しましょう。

パスポートの返却・返納場所

故人のパスポートは、最寄りのパスポートセンターや旅券事務所に返納します。

海外で死亡した場合は、在外公館(日本大使館または総領事館)がパスポートの返納場所になります。

パスポートの取り扱い場所は、外務省ホームページで確認できます。

各都道府県のパスポートセンターの場所はこちら↓
>>都道府県ホームページへのリンク

海外で死亡したときの返納場所はこちら↓
>>在外公館ホームページ

返納手続きに必要な書類

パスポートの返納手続きに必要な書類はつぎのとおり。

  • 亡くなった方のパスポート
  • 死亡した事実が確認できる書類

死亡した事実が確認できる書類は、死亡診断書のコピーや戸籍謄本、住民票除票などです。

故人が死亡したことが記載されている証明書なら大丈夫です。

返納場所に、パスポートと戸籍謄本などの名義人が死亡した事実がわかる書類を持参し手続きします。

もし有効期限が過ぎているなら、死亡した事実がわかる書類は必要ありません。

失効手続き後にパスポートは返却してもらえる?

希望するなら、パスポートにパンチ穴を開けたり、失効したことを表すスタンプを押して返却してくれます。

神奈川県パスポートセンターからの引用です。

有効期間の切れたパスポートを記念に持っていたいのですが、回収されてしまいますか?
有効期間の切れたパスポートは、無効化させる穴あけ処理をしてお返ししますので、新しいパスポートを申請する際にお持ちください。

このQ&Aでは、有効期限が切れたパスポートについての取り扱いですが、死亡での返納手続きにおいても同じです。

故人の形見として残したいなら、窓口で返納手続きを終了させ、パスポートを返してもらいましょう。

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