新たなお葬式のかたちとして、家族葬に注目が集まっています。
故人との最後の大切な時間を家族と過ごせることや、従来の形にはない故人らしいお見送りをできることが魅力です。
このページを最後まで読めば、次のことがわかります。
- 家族葬にはどこまでのことができる?
- 家族葬と一般葬を選ぶ人の割合
- 家族葬のメリット・デメリット
家族葬と一般葬を比較して、家族葬を選ぶメリットとデメリットについて説明します。
どこまで家族葬にできるか違いを一般葬と比較
まず初めに、家族葬と一般葬の違いについて説明します。
式の時間配分
従来のお葬式のことを一般葬といいますが、参列者が多く、遺族は挨拶などの対応に追われます。
また、お坊さんの読経や参列者の焼香の時間が長く、告別式から出棺までが短いので、最後のお別れが形式的になってしまいます。
家族葬は故人とのお別れを大切に、時間配分も自由に設定できるのが魅力です。
お通夜や告別式では、故人の好きな音楽や映像を流したり、祭壇を自由に飾ったりもできます。
参列者の人数
故人と遺族の仕事関係者、ご近所さんなど一般葬は誰でも参列でき、来るもの拒まずといった感じです。
一般葬の参列者は、100名以上になることも珍しくありません。
次のグラフは家族葬の調査データで、参列者の人数割合を表しています。
家族葬をした9割を超える家庭は、30名以下の小規模としていることがわかります。
家族葬は、家族以外にも身近な親族や親しい友人など、参列して欲しい人のみ案内を入れることが基本です。
仕事関係者やご近所さんなど、浅いつきあいの人は呼ばないのが一般的です。
どこまでの関係の人が参列するか
故人とは全く面識のない人も参列する一般葬に比べ、家族葬は参列してもらう人を選べます。
どこまでの関係の人に参列してもらうのか…
決まりがないのが家族葬の良いところでもあり、逆に悩みどころでもあります。
- 生前、家族ぐるみの親交のあった友人に一緒に見送ってもらいたい。
- 普段付き合いのない親族には参列を遠慮してもらいたい。
故人と関係の近い親族や、親しい友人をハッキリ線引きできれば悩みません。
呼ぶかどうか微妙な人がいたら、のちのちことを考えると案内しておいたほうが無難かもしれません。
お葬式の内容をどこまでアレンジできるか
一般葬でも、告別式で故人の好きだった曲をかけることはできます。
しかし、故人のことを知らない人も参列するので、常識的で厳かな式になります。
家族葬は親しい人しかいないので、故人の趣味や家族の思いを大切に、それをお葬式にとり入れることができます。
- 山や海が好きだった故人に向け、その風景を模した祭壇
- スイーツが好きだった故人に向け、盛り合わせを用意
- 音楽好きだった故人に合わせた楽曲を流す
- 年表や写真を飾り、故人を思い返す
- お別れの時間にゆっくり時間を掛ける
ほかにも式の内容や時間配分のアレンジは自由で、思い出に触れながら、故人を偲んで送りだせます。
お葬式の費用
一般葬はどの位の人数の規模になるのか、お葬式が終わるまで分かりません。
家族葬は参列者のみに案内するので、会場の規模や食事などにも余分がなくなり、予算が安いお葬式にできます。
一般葬の葬儀費用相場は187.4万円ですが、家族葬の費用は111.6万円です。
お葬式の流れ
家族葬の流れとしては、一般葬とほぼ同じです。
- ご遺体の搬送
自宅や葬儀場に搬送・安置し納棺する - お通夜
自由なスタイルで故人と一晩を過ごす - 告別式
お坊さんの読経や、花を棺に納める - 火葬
火葬場に向け出棺して火葬する
家族葬だからといって、お葬式の内容が不十分にはなりません。
家族葬と一般葬を選択する人の割合
家族葬と一般葬を選択する人の割合について説明します。
全国調査のアンケートと、首都圏の葬儀実績では、家族葬が選ばれる割合が違うのが特徴的です。
全国では家族葬35%、一般葬57%
次のグラフは、2017年に実際に選ばれた、葬儀の形式についてのアンケート調査結果です。
一般葬の次に家族葬が選ばれ、その割合は35.4%、全国では3件に1件が家族葬でお葬式を行っています。
首都圏では家族葬59%、一般葬17%
続いて、東京・神奈川・千葉・埼玉が対応エリアの葬儀社「アーバンフューネス」の葬儀実績のデータ(2017年)になります。
首都圏では、家族葬を選ぶ割合が全体の59.1%にもなっています。
近所付き合いも少なくなり、核家族化が進んでいる現状では、親しい人のみでお葬式ができる家族葬が選ばれているようです。
家族葬は増加傾向、一般葬は減少傾向
葬儀業者にヒアリングしたデータがあるので紹介します。
それによると、増加傾向にある葬儀の種類の第1位が「家族葬」、減少傾向の第1位は「一般葬」という結果になっています。
家族葬をえらぶメリット・デメリット
どんどん核家族が増え、家族葬は時代のニーズにあった形式としてお葬式の主流になります。
家族葬の最大のメリットは、家族の思いを優先し、最後を気兼ねなく過ごせる人達だけで見送れること。
ですが反面、家族葬について世間の認知度と理解がまだまだ低いのが現状です。
家族葬のメリット・デメリットを説明します。
メリット①参列者への気遣いが不要
一般葬はそれなりの規模のお葬式になるため、参列者への気遣いも欠かせません。
最後の大切にしたい時間に、落ち着いて家族を見送ることができないのはツライことです。
また、一般葬の参列者には遺族の仕事関係者も多く、故人と面識のない人が、関係のない話で盛り上がるなんて非常識なこともあります。
家族葬では式へ参列してほしい人を選べるので、家族の気持ちを優先できます。
故人との最後の時間を、親しい人だけで気兼ねなく過ごせます。
メリット②自由な内容のお葬式にできる
故人の趣味や生きてきた道、残された家族の思い、これをそのままお葬式に取り入れることができます。
お葬式の意識調査では、3人に2人が、その人らしさが伝わるお葬式ができる家族葬に好感を持っています。
- 故人をイメージした祭壇、57%が好感
- 故人の好きだった音楽を流す、76%が好感
下の写真は、動物園の飼育員だった方のお葬式の様子です↓
出典:東京葬儀
思い出話でしんみりしたり、明るい雰囲気にもでき、故人を偲びながら落ち着いた環境で見送れます。
故人を理解してくれる人だけの参加にできるので、世間の目を気にせず有意義なお葬式になります。
メリット③葬儀費用を安くできる
一般葬と違い、参列者の人数を設定しやすく、余分な通夜振舞いや精進落としが不要です。
また、無宗教ならお坊さんに来てもらう必要もないのでお布施も不要で、それだけ費用が安くできます。
一般葬の葬儀費用の相場平均が187.4万円に対し、家族葬は111.6万円です。
お葬式の規模で違いますが、平均75.8万円の差は大きいですね。
デメリット①小規模な葬儀というイメージ
参列者を親しい人だけにし、葬儀費用を安くできるというのは、家族葬のメリットでした。
しかし、世間の家族葬の認知度と理解は低く、費用をおさえた小規模で簡素・質素なイメージをもっている人もいます。
家族にとってのメリットが反転、気になる人にはデメリットとなる可能性があります。
デメリット②お香典が少ない
参列者が少人数なので、当然お香典は少なくなります。
また、近親者のみで気兼ねなく参加してもらうために、あえてお香典を受けとらない喪主もいます。
お香典を辞退する場合には、訃報の連絡の際に「故人の意思で、お香典の受けとりは辞退します」と伝えておくことが大切です。
デメリット③葬儀後の弔問客が増える
家族葬では近親者のみでお葬式をするため、案内を入れていない人の気持ちを無にしてしまうこともあります。
どうして呼んでくれなかったのか、あとで説明を求められることもあります。
故人の知人・友人の多さや人柄を考慮し、家族葬にするか、やはり一般葬がいいのかを判断してください。
呼ぶ人が50名を超えるようなら、一般葬としたほうが無難です。
まとめ
ゆっくりとしたお別れの時間を家族とともに過ごすためには、家族葬の実績が豊富な葬儀社を見つけなければいけません。
また、葬儀社に事前相談しておくことも大切です。
聞きにくいことですが、生前にお葬式に対する考えをきちんと聞いておくことも大切です。
家族にエンディングノートを書いてもらうのも良いかと思います。